「ペットを飼っているけど塗装工事をしても大丈夫ですか?」「塗料ってツーンと強烈な臭いがするイメージだけど、工事の間はどこかにペットを預けていた方が良いですか?」等のご質問を、お施主様からよく頂きます。私自身もご心配されるお気持ちが良く分かりますので、実際の現場での体験談を元に、ペットがいる場合の塗装工事工程別の対策と気をつけて頂きたい事をご紹介してみたいと思います。

 

塗装工事工程別ペットへの安全対策

見積り時


塗装工事の見積もり時には、必ずペットがいる事をご報告ください。塗料の選択時に考慮したものをご提案させて頂きます。又、室内・室外、ペットの種類や環境に合わせて工事中の注意事項をご説明致します。

 

工事期間中


工事内容と日程が決まれば、いよいよ工事が始まります。塗装工事工程に沿ってご紹介していきたいと思います。

 

足場設置工事と養生


足場設置工事は一日で終わりますが、聞き慣れない音がしたり、トラックや多数の人の出入りがあります。

 

  • 足場を組む足元に犬小屋がある場合は事前に移動しておきましょう。

 

  • お庭で放し飼いをされてある場合は、人の出入りがあるのでつないでおきましょう。犬にとって脱走程楽しい事はありませんが、危険です。

 

  • 見知らぬ人が出入りするので、人見知りの激しい犬にはかなりのストレスがかかります。足場設置工事の間だけでも、室内に待機させるか、人と接触できない場所へ移動しておきましょう。

 

  • 猫ちゃんの場合は音に驚いて逃げてしまう事もあれば、足場を遊び場に変えてしまう事もあります。どちらにしても、設置工事中は危険ですので、猫ちゃんには室内で待機してもらいましょう。

 

高圧洗浄


実は、ペットにとって最も怖いのはこの高圧洗浄かもしれません。何故なら、塗装工事の中で最も大きな音が出るからです。お水に対して抵抗はなくても、大きな音は苦手です。怯えたり、吠えたりと犬にとってストレスがかかる事が多い作業になります。

 

  • 日頃から大きな音(雷)が苦手であれば、お施主様が一緒に居てあげて落ち着かせるか、お散歩に出かける等で苦手な音から遠ざけてあげましょう。

 

下地補修


この工程で音が出るとしても、高圧洗浄程の大きな音は出ません。

 

  • 人見知りをする場合は、作業が見えない場所につないでおきましょう。

 

下塗り、上塗り


いよいよ塗料を使って塗装が始まります。

 

気になる塗料の臭い


ペットに限らず、お施主様が一番に気になる事は塗料の臭いではないでしょうか?臭いがキツイと感じる原因は、塗料の揮発成分で使用される有機溶剤(シンナー等)です。しかし、有機溶剤系の塗料は屋外で使用するので、気化も早く、キツイ臭いがいつまでも残る事はありません。詳しくは塗料の基礎知識をご参考にしてください。

 

有機溶剤(シンナー等)が原因で起こってくる症状は、酔ったような状態、食欲不振、接触による皮膚のアレルギー症状等です。実際に一昔前はそのような事が起こっていたようですが、私が塗装工事を請け負ったお施主様のペットでそのような症状が出た事は一度もありません。

 

今の法律では、有機溶剤は厚生労働省が指定する濃度を超えてはいけない事、水性の溶剤がメインになってきている事が要因ではないかと思います。しかし、だからと言って、100%安心・安全ですよと断言は出来ませんので、気になられる場合は以下の点にご注意ください。

 

  • 見積り時に臭いが気になる旨を伝えて、水性系塗料を希望する

 

□ 室内でペットを飼育している場合、塗料を塗っている間は、外の空気が入らないようにしましょう。

※室内塗装の場合は水性系がメインになりますが、気になる場合、塗装中は移動し、しっかりと換気を行ってください

 

塗料を舐めても大丈夫?


塗料を好んでペロペロと舐める事はありませんが、塗料を塗りたてでも、関係なくその場所を噛んで遊んでしまう事があります。

 

  • 日頃から、ウッドデッキ等を噛んで遊ぶ事があるなら、しっかりと乾くまで近寄らないようにしてあげてください。

 

記念の足型


駐車場のコンクリートに可愛い犬や猫の足型を見かけた事はありませんか?あれは、犬や猫に悪気がある訳ではなく・・乾く前にそこを歩いただけです。同じような事が外壁塗装工事後に起こらないとも限りません。歩ける箇所は塗料が乾くまで近寄らないようにしてください。

 

点検と足場解体


注意すべき内容は足場設置工事の時と同じです。これも一日で終わります。

 

本当にあった塗装職人とペットとの触れ合い事件

 ちょっと大袈裟なタイトルをつけてしまいましたが、私の記憶に残るお施主様のペットとの触れ合い事件をご紹介します。参考になるのか分かりませんが、現場ではこんな事がありました。

 

ケース1 好き好き大好きペロペロ事件


とても愛想の良い大型犬のワンちゃんに好かれすぎてしまった結果、塗料を塗る為しゃがむと、ずっと顔をペロペロと舐めてこられました。(笑)延々と続く大好きアピールに作業が何度も中断してしまいました。

 

ケース2 あなただけは嫌い事件


普段はとても大人しいワンちゃんだったそうですが、一緒に現場に行った一人だけが噛まれちゃいました。本人に悪気は無いのは分かっていますが、相性が合わなくても、一人だけ嫌われるとショックです。

 

ケース3 不審人物注意事件


犬の場合、番犬と言われる位に縄張りを守る意識が高い事もあります。作業中、お施主様が留守だった事もあり、ひたすら吠え続けられた事がありました。あまりにも吠え続けるので、ワンちゃんの体調が心配だった事とご近所様から騒音の苦情が出てしまうのも心配でしたので、その日は作業を中断しました。

 

ケース4 現場監督早弁事件


猫ちゃんの場合、大きな音は苦手な傾向にありますが、単純な作業の時は少し離れた場所から現場監督のように作業を見守ってくれます。しかし!現場監督は職人より早くお腹が空いたようで、車に乗せておいた職人の弁当を早弁してしまう事件がありました(笑)窓を空けていた職人が悪いだけの話しなんですが・・・

 

このように、現場では思い出しても微笑ましくなるようなペットとの事件が多いです。「参考にならないですよ!」とか聞こえて来る前に、本題に戻りたいと思います。

 

ペットがいる時に塗装工事で気をつける事まとめ

 

  • 見積り時にペットがいる旨と、飼育環境を伝えておく
  • 予算と内容によりますが、水性系塗料を中心に選択をする
  • 人の出入りがある場合はしっかりと繋いでおく
  • 大きな音が苦手な場合は、その日は出かけるか、お施主様がそばに居て頂くか、予め獣医師に相談しておく

※場合によっては鎮静作用のある薬を処方してもらえる事があります。

□ 人見知りが激しい場合は、作業のない場所に移動しておく

□ 塗料が乾くまで塗った箇所に近寄らないようにする

□ 過度にストレスがかかるようなら、室内へ移動、もしくは預けておく

 

前もって“どの作業をいつするのか”の打ち合わせをしておく事で、事前に対策をとる事が出来ます。安心して塗装工事をご検討ください。